「超高齢化社会を生き抜く(1)」
医療費負担をめぐる議論が続いています。高齢者に多くの負担を求める議論には私は賛成することはできません。
高齢者の保険料は、歳をとるごとに1歳きざみで少なくする制度をつくるべきだと考えます。
厚生労働省の「医療給付実態調査報告」(平成21年度)によると、国民1人当たり医療費は、15〜19歳が年間6万7千円で最も低く、その後は年齢とともに多くなって70〜74歳で60万4千円、90〜94歳では100万円を超えます。
大半が年金で暮らしているお年寄りは、病気になった場合の窓口負担が、収入に限界があるにもかかわらず、歳を重ねるごとに多くなる計算です。若いときは世の中のため懸命に働いてこられた方々が、リタイアしてからは医療費が心配で病院に行くにも二の足を踏んでおられるのが現実としたら、こんなに悲しい社会はありません。
負担を軽くするために、何らかの工夫が必要なのは当然でしょう。
個人で異なる医療費はそれぞれで負担していただくとして、保険料はできるだけ少なくし、働いていて収入の多い層が肩代わりする——。
世代を超えた助け合いこそ、暮らしやすい世の中の条件の一つだと考えます。
(12年10月15日)