平口洋の思い/ビジョン 文字サイズ
平口洋

「SPEEDの今井絵里子さん」

  障がいを乗り越えて生きようとする姿に、大変な元気をもらったことがあります。
 パワフルな歌唱力で定評のあるSPEEDの今井絵里子さんの講演でした。「笑顔を絶やさない」との言葉が、今も心に残っています。
 今井さんの息子さんは、生まれたときから聴覚に障がいがありました。その事実を突きつけられたときには、崖から突き落とされた気持ちになり、三日三晩泣いたそうです。「人間の涙がこんなに出るとは思わなかった」とも話されました。しかし懸命に生きようとしている息子さんの顔を見つめているうちに、一緒に歩もうとの決心が芽生えたそうです。そこからが今井さんのすばらしいところです。手話を習いました。 時間が許せば、息子さんと一緒に福祉施設を回ります。NHK「みんなの手話」の司会も務めています。そんななかで浮かんだ言葉が「笑顔を絶やさない」でした。自身が笑顔でいれば、息子さんたちも明るくなることも学んだそうです。
 今井さんの体験を聞いたのは、昨年の「聴覚障害児を育てたお母さんをたたえる会」の席上でした。会の主催は聴覚障害者教育福祉協会。私の友人の山東昭子さんが会長です。私も理事に名前を連ねています。
 障がいのある子どもを育てるのは本当に大変です。うまく意思疎通ができないため、母子双方に感情の爆発現象が出たりします。そんな人たちを支えようとする協会のメンバーは、教育関係者が目立ちます。自身が難聴である大学医学部教授の話も聞きました。難聴者にも音楽のメロディーは伝わる、との内耳疾患の研究結果が印象的でした。
 いろいろな支援が必要ですが、まず求められるのは、教育面の条件整備です。早い段階で健常者と同じレベルの教育を受けられる環境を整える。喜怒哀楽をきちんと受け止め、表現できる能力を身に付ける。そうすれば、社会で健常者とともに生き生きと過ごすことができます。
 ここにも政治の出番があります。

(10年8月26日)

平口洋