平口洋の国政報告 文字サイズ
平口洋

「黒い雨」区域外支援

 原爆投下後に降った「黒い雨」の被害者支援が、昨年10月から国の指定した区域の外に住む人たちにも広がりました。保健師による無料相談だけでなく、健康診断の費用も国が助成するのが大きな特色です。実現へ向け、「原子爆弾被害者救済を進める議員連盟」のメンバーとしてお手伝いできたことをうれしく思っています。
発端は、昨年1月8日、広島市中区のホテルで開かれていた会合に出ていたとき、同僚の寺田稔議員(広島5区)からかかってきた電話でした。「国の予算案は相談事業だけになっている。もっと多くの予算を獲得したい。自民党厚生労働部会で何か言ってほしい」。予定されていた部会は、その翌日の9日です。私は大急ぎで上京しました。
その日の部会は、厚生労働省の25年度予算案について、与党の了解を得ることが目的です。当初、厚労省が示した予算案は、寺田議員の言ったとおりでした。「相談事業でお茶を濁すなら、なくていい。相談した結果、検査や投薬、治療が必要ということになれば、それも見るのが筋だ」と私は発言しました。部会終了後、厚労省から「予算案を差し替えます」と連絡が来るまで、長い時間はかかりませんでした。
 差し替えられた予算案では、支援費がおよそ4400万円に増えていました。厚労省が最初に示した予算案には、被害者に対して「まったく手を差し伸べないわけではない」とのポーズだけは見えています。ただし差し伸べた手は、決して温かい手ではありませんでした。広島市佐伯区湯来町の和田や菅沢の人たちから、黒い雨に遭ったと聞いたことがあります。それが事実なら、広島の議員として放置しておくわけにはいきません。支援策がさらに充実するよう、今後もお手伝いを重ねるのが使命と考えています。

平成26年5月

平口洋